卵殻の内部で成長する胚の心循環機能パラメータ(心電図、インピーダンス・カーディオグラム、心弾動図、アコースト・カーディオグラム、心拍数、動脈圧及び卵内圧)を、卵殻を介して行われるガス交換を阻害せず、胚に侵襲を与えないで計測するシステムを開発・構築し、以下の研究を行った。 1.環境酸素を10%と15%及び高濃度に変化させ、成長するニワトリ胚及びヒヨコを4時間暴露し、その間の酸素摂取量応答特性を明らかにした。 2.自律神経作動薬・遮断薬を静脈カテーテルから注入し、ニワトリ胚血圧及び心拍数の応答から交感神経と副交感神経の孵卵期後半における作用を明らかにした。 3.ピエゾ薄膜素子を利用し、ふ化直後から1週間にわたりヒヨコの心尖拍動を記録して心拍数の無侵襲計測を行い、ふ化前後の心拍数変化と変動特性を明らかにした。 4.心電図及びインピーダンス・カーディオグラム用電極挿入(侵襲法)及びアコースト・カーディオグラム用マイクロフォン装着(無侵襲法)のニワトリ胚心拍数に及ぼす影響を統計評価した。 5.環境温度変化に対するニワトリ胚の心拍数応答を無侵襲で計測し、低温及び高温環境に対する成長する胚の耐性を明らかにした。 6.卵の心起因性変位をレーザ変位計で2カ所から同時計測し、卵のベクトル心弾動特性を研究した。 7.胚体動の影響が少ないアコーストカーディオグラムを連続計測し、胚瞬時心拍数の長期自動計測システムを開発、心拍数の日令に伴う変動特性を明らかにした。 8.卵心弾動情報計測の第5の方法として、電磁誘導コイルによる計測システムを開発。レーザ変位計と同時計測を行って、心弾動の速度量であることを示した。 9.長期貯卵の胚成長に及ぼす影響を心拍数と酸素摂取量の無侵襲計測により評価した。 10.晩成離巣性のハト4種とアメリカドテツバメの心拍数成長パターンを測定、今後の研究に示唆に富む結果を得た。
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