研究課題/領域番号 |
03452183
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 正男 東京大学, 医学部(医), 教授 (60010708)
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研究分担者 |
池田 研二 東京大学, 医学部(医), 助手 (70010030)
渡辺 瞭 東京大学, 医学部(医), 助教授 (00009937)
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キーワード | ニューラルネットワーク / 適応信号処理 / 多次元信号処理 / ベクトル量子化 / 非定常信号 / 生体信号処理 |
研究概要 |
本年度は、Kohonen形のニューラルネットワークによって実現されるトポロジカルマッピングを実際に長時間生体時系列処理に適用し、非定常性の検出を試みた。トポロジカルマッピングは入力に対する位相保存写像を形成することができ、また昨年度の研究結果によって分布の意味での収束が保証される。さらに、トポロジカルマッピングには信号に対する分解能に応じて信号の特徴的な次元を自動的に取り出すことができる。以上の性質に基づいて、信号が高い次元の信号空間で表現されているけれども信号を特徴づける構造が信号空間で低次元の多様体構造をなしている場合には、参照ベクトルの配置という形でその低次元多様体構造を取り出す。取り出された低次元多様体構造からのデータの推移を観察することで、ある時点を境に性質が大きく変化するような非定常性を検出することが可能である。本年度は以上のような非定常性検出法を提案し、例題として睡眠脳波を使って方法論としての本手法の有効性を検討した。睡眠脳波データは適当な時間間隔で区切り、線形予測分析法で得られる予測係数を要素とするべクトルデータに変換し、それの時系列に対して処理を行った。まず、α波にspike波が混入した状況を想定して模疑波形を作成して本手法を適用し、spike波が正確に検出されることを確認した。次に実際の睡眠脳波に対して本手法を適用し、処理結果を臨床知見と比較して矛盾しない結果を得ることができ、本手法の有効性を確認した。また、実用的に問題となる計算量を削減するために、トポロジカルマッピングを階層的構成とする手法を考案し、計算時間を効果的に減少させることができることを確かめた。
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