研究概要 |
本研究は,多次元画像を対象とし,デ-タや情報の統合化のため,価値や重要度を考慮した階層処理による統合化手法を確立することを目的としている.これにより,従来行なわれてきた画一的一律的処理を避け,多次元画像に含まれる情報を重要度に着目して,効率よく抽出する人の思考過程に近い処理手法を開発し,高度の情報処理を実現することを目的とした.具体的には,対象や処理の目的に適応的に階層処理を行ない,能率が高く,処理精度も高い処理手法を確立するものである. 本年度は(1)異なる時刻で得られた画像同士を精度よく重ね合わせるためのレジストレ-ション手法の階層化による自動化,(2)変化の重要度および空間的な変化の重要度を考慮した重み付けを行なう階層的変化領域抽出法,(3)対象物に関する知識やa prioriな情報を導入し,時間的に不変な領域を抽出・除去し,変化領域についてのみ詳細な処理を行なう階層的手法について検討を行なった. (1)については,アフィン変換による幾何変換を基本とし,三角形の領域を階層的に分割しながらアフィン変換に適する領域を適応的に見い出す方法で,人手によらずに高い重ね合わせ精度を得る方法を確立した.さらに自動化を拡大する方法を検討中である.(2)については,階層的分類手法を適用し,変化の重要度を表現する方法を現在も検討中である。(3)については,特徴空間で不変域のもつ構造と画素デ-タのカテゴリ-分解を併用した変化域抽出法を開発してよい結果を得,また,変化域を詳細に分析して変化域を遷移行列で特徴付ける方法を開発した.さらに,分類結果に基づく変化域抽出法に関して,実空間において階層的にカテゴリ-の構成比を算出することで分類における誤りを低減する方法を示した。来年度も引続きこの方向で検討を続ける.
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