研究課題/領域番号 |
03452189
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小浜 輝彦 九州大学, 工学部, 助手 (00225476)
|
研究分担者 |
香田 徹 九州大学, 工学部, 教授 (20038102)
|
キーワード | ランダムスイッチング / DC-DCコンバータ / 共振形インバータ / 雑音スペクトル分散化 / 高調波抑制 / 共振形DC-DCコンバータ / カオス振動 / 白色雑音発生回路 |
研究概要 |
本研究の目的は、半導体スイッチを用いたパワーエレクトロニクス機器において、スイッチング周期を不規則に変化させることによりスイッチング雑音の周波数スペクトルを分散・平坦化し、雑音レベルを低減する技術を確立することである。即ち、ランダム信号又はカオス信号を用いてスイッチング周期に不規則性を与えることにより雑音スペクトルの特定周波数への集中を抑える手法を提案し、それを実現する回路方式の開発、雑音低減効果の評価等を行ない、新しいスイッチング方式の実用性を検討することである。 平成5年度は、本研究の最終年度であり、これまでの研究を継続すると同時に、これまでの研究の総括を行った。その結果、以下のことは明らかにすることができた。 1.ランダム信号を用いた各種装置のノイズ低減: DC-DCコンバータのスイッチング周波数をランダムに変化させることによってノイズスペクトラムを平坦化させる手法について実験及び解析を行った。その結果、スイッチング雑音の高次の周波数成分がこの手法により大幅に低減されることが明らかとなった。また、この手法を蛍光灯インバータ回路に適用し、インバータから発生する高周波の雑音成分を低減できることが確認できた。さらに、商用電源の高調波歪の改善策として提案されているスイッチング整流器にもこの手法を適用することでスイッチング雑音が低減できることが実験により確認された。 2.ランダム信号発生器の作成: カオス信号を送出する手法を検討し、その信号の不規則性を実験及び理論の両面から評価を行った。この結果、カオス信号が十分な不規則性をもった雑音として利用することが可能であり、そのための設計方法が明らかとなった。また、カオス信号の発生回路としてスイッチドキャパシタ回路を使用することによりランダム信号発生器を容易に実現できることが明らかとなった。 3.共振形DC-DCコンバータの不安定現象とカオス信号: 周波数制御形の共振形DC-DCコンバータでは、周期的外乱により帰還制御系に不安定現象が生じ、カオス信号の現れることを実験及び理論的考察により明らかにした。このことから分散形電源のように複数の電源から成るシステムに共振形電源が使用される場合にはカオス的な不安定現象が起こりうることが示された。
|