研究課題/領域番号 |
03452193
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
町田 進 東京大学, 工学部, 教授 (70010692)
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研究分担者 |
金田 重裕 東京大学, 工学部, 助手 (90010892)
新村 豊 東京大学, 工学部, 助手 (40010889)
吉成 仁志 東京大学, 工学部, 助教授 (20167737)
的場 正明 東京大学, 工学部, 助教授 (10229594)
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キーワード | 長大ぜい性き裂 / 伝播停止 / 塑性波拡大モデル / HRR特異場 / エネルギ-論 / 応力論 / 伝播シミュレ-ション |
研究概要 |
従来の静的概念による脆性き裂の伝播停止の取扱いにおいては、通常の二重引張試験(幅〜500mm)の結果と広幅(〜2000mm)との結果に整合性がとれないという致命的な欠点があった。その後エネルギ-論的立場による動的解析が精力的に行われたが、やはり長大き裂の結果を説明できなかった。このことは、根本的なアプロ-チの仕方の変更を示唆するものと思われ、そこで本研究ではき裂の伝播停止条件に局所応力論を導入することを考えたのである。 本研究では、HALLによるき裂先端近傍での塑性波拡大モデルに着目し、降伏現象のひずみ速度依存性をつけ加えることにより伝播中のエネルギ-吸収量を具体的に算定する手法を提案した。同時に塑性域中にHRR特異場による応力分布を考えている。これによりエネルギ-論および応力論の2者を同時に考察することが可能になったのである。 上記の修正HALLモデルを用い、従来の温度勾配型および広幅混成型の実験結果を考察した結果、以下のことが明らかとなった。 1)き裂速度には下限値が存在し、これは負荷応力、き裂長さ、温度などに依存する。このことは従来の実験デ-タと定性的に一致する。またエネルギ-条件に比し応力条件の方が厳しく、エネルギ-論的には伝播可能でも応力論的には伝播不可能である状況が存在する。 2)温度勾配型における伝播シミュレ-ションによれば、応力論的に考えて統一的に説明できる現象が、静的概念によればき裂長さにより停止靭性に差が生じ、このことはやはり従来の結果に一致する。つまり伝播停止挙動は応力論的に捉えるべきなのである。 3)広幅混成型に対しても応力論的に考えることにより従来の実験デ-タを説明することができる。 今後の課題は、有限幅の影響を導入し、より現実的な状況にさせることである。
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