研究概要 |
前年度までの結果を取り入れ,大規模地下街の避難行動シミュレーション手法の開発を行った.従来の避難行動モデル化手法では,大規模かつ複雑な地下街などからの避難行動モデル化が困難な場合があった.そこで,検討対象となる地下空間を,避難に関するポテンシャルの時間・空間分布としてモデル化する手法を提案し,簡易な通路モデルおよび実際の大規模地下街・地下駅を例題として適用した. モデル化手法検討の作業と並行し,前年度に行った営団地下鉄大手町駅の構内流動調査結果の分析と,川崎地下街アゼリアにおける現地調査および構内流動調査データなど基礎的データの収集・分析を行った. 上記の検討にもとづいて大規模地下街の避難行動シミュレーションプログラムの開発を行った.テストランを簡易な通路モデルを例題として実施し,結果を既往の人間行動研究結果と比較検討して妥当性を検証したところ,シミュレーション結果は既往の人間行動研究成果とよく対応しており,ポテンシャルモデルにもとづく避難行動シミュレーション手法により人間行動特性を再現可能であることが明らかになった. さらに,避難シミュレーションを大規模地下街および地下駅モデルに適用し,避難者の初期分布・行動特性を変化させた場合の避難安全性検討など,ポテンシャルモデルにもとづく大規模地下街の避難行動シミュレーション手法の適用例を示した.これらの検討により,計算時間なども含め,避難安全性解析手法が実際の大規模地下街・地下駅における避難行動シミュレーションに適用可能であることが示された.
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