研究課題/領域番号 |
03452203
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小田 匡寛 埼玉大学, 工学部, 教授 (90008855)
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研究分担者 |
風間 秀彦 埼玉大学, 工学部, 助手 (40008868)
岩下 和義 埼玉大学, 工学部, 助教授 (40203377)
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キーワード | 粒状体 / すべり面 / 構造(ファブリック) / 数値解析 |
研究概要 |
周知の通り、土の支持力論や土圧論は、すべり面上での極限つり合いを論拠として構築されている。このことからも容易に理解されるように、すべり面は土の力学体系の中でも際立って重要な位置を占めている。また近年、数理塑性論の分野で体系化された分岐理論が土の力学にも応用されるに至り、増々すべり面への関心が高まっている。このような現状を踏まえ、この研究は、すべり面近傍の局所歪の分布やその内部で生起する現象を実験的に明らかにし、また、個別要素法を用いたシミュレーション実験を行い、大変形を受けるすべり面内部の運動学的、動力学的特徴を把握することによって、すべり面の力学的な位置づけをより確かなものとすることを目的としている。得られた結果を要約すれば以下の通りである。 1.変形途中にある砂、粘土を乱すことなく接着剤で固定し、それらの内部構造、特にすべり面を偏光顕微鏡、走査型電子顕微鏡、X線により観察した。すべり帯の間隙比、長軸配列、接点角の分布の分布の特徴から、すべり帯形成の微視的モデルとして、歪硬化過程のcolumn-like load pathsの発達とその破壊・座屈過程が特に重要であることを明らかにした。またそのような構造変化を可能とする第三の力として、couple-stressの役割と意義について論じている。 2.個別要素法による粒状体の数値シミュレーション実験を行い、すべり帯内で起る構造変化を具体的に追跡した。その結果から、粒状体のせん断強度の発現メカニズムや局所的すべり面形成と粒子構造との関係などについて新たな知見が見られた。 3.これらの成果の上に立って、粒状体の分岐理論を比較検討し、偶応力を考慮した理論構築の必要性を論じた。
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