研究概要 |
1.破壊現象の可視化技術,評価方法の改良 平成3年度における破壊現象の可視化技術の開発において問題となった,大型カメラ操作性,破壊写真の評価方法について検討を加えた結果,用いた大型カメラの解像度では,変形量の抽出は200μm/200mm程度が限界であり,その場合においても乾板の平面度がコンクリートの変形量抽出に多大な影響を及ぼすため,乾板としてほぼ完全な平面を有する金属性のものを使用する必要があることがわかった。 2.破壊過程と応力ひずみ曲線との関係,破壊現象に及ぼす粗骨材の影響 平成3年度作製した,力学特性の異なる粗骨材が埋め込まれた超高強度コンクリート試験体(20×20×5cm,全30体)の一部について,大型カメラを用いた圧縮破壊過程の追跡を行い,(1)最大耐力時の供試体の状態(2)応力下降域でのクラックの進展・表面剥離現象と載荷性能との関係について検討したが,紙製の印画紙を用いたため上記1の理由により,得られた写真からは粗骨材の違いによる破壊過程の微妙な違いを検出するには至らなかった。ただし,マトリックスより高い強度を有し,かつ靭性に富む粗骨材を用いた場合には、超高強度コンクリートにおいても応力ひずみ曲線は幾分延性的挙動を示す傾向にあることがわかった。しかしながら,マトリックスよりも低強度・低弾性の粗骨材を用いた場合には、圧縮強度の低下および破壊の脆性化を生じる。また,マトリックス強度が高くなるほど,最大耐力時のひびわれ数は少なく局所的な変形が生じる傾向にある。 3.今後の検討課題 金属乾板を用いた大型カメラによる超高強度コンクリートの破壊現象の追跡を可能にする。
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