本研究で新規に購入する測定機器(色彩輝度計)は、平成3年8月下旬に、また、実測資料の取得、収納、記録、整理、解析に用いるマイクロコンピュ-タは10月中旬に納入された。 本研究の採択と共に、申請者らは、手持ちの不完全な色彩輝度計を用い、担当な手間を掛けて、予備的な測定を行い、デ-タの収集に努めた また、測定機器の納入と同時に機器の性能チェックと使用方法の習熟に努め、マイクロコンピュ-タの納入後に本格的な資料収集に入った。したがって、現在までに収集したデ-タは十分ではない。しかし、これに基づいて、以下の3点について、およその研究成果を得た。 1.晴天の色と雲の色の色度図上の検討 雲量が0の時の晴天空について、青空の色の色度図上の存在範囲と、雲量が10の時の曇天空について、雲の色の色度図上の存在範囲を検討した。それぞれの天空要素の輝度を一定の範囲に階級分けし、その範囲での両者の色温度を比較した結果、青天の色温度の広がりは、雲の色温度のそれを包含することが判明した。青天の色温度で雲のそれと重複しない範囲を求め、この範囲は、青天として良いと予備的に考察した。 2.晴天空の輝度分布と青天の色温度分布 青天の色温度分布図を作成した。その分布の形状が、CIE標準晴天空の輝度分布と極めて類似していることに着目し、晴天空の天空要素の輝度と青天の色温度には、相担の相関があると考えた。 3.晴天空の天空要素の輝度と青天の色温度の関係を大まかに検討し、その関係の数式化を暫定的な検討を試みた。 以上、本年度の研究は、機材の納入時期、使用方法の習熟の関係で資料収集や検討の時間が乏しかった。また本研究は通年の実測資料が必要であることなどの理由により、上記のような暫定的な検討を試みた。
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