本年度は測定機器も完備し本格的な測定の開始が可能となった。主として、1992年9月から10月にかけて合計166回の測定を試みた。また本年度は天空の分割を再検討し、それぞれの立体角が可能な限り同一であるように再分割した。したがって、測定点の高度、方位ともに昨年度とは若干異なる。これらの測点の色度(X、Y、Z)を測定し、輝度、色度座標(x、y)、色温度を求めた。また、測定点のそれぞれに、晴天空か雲かの判別を行い、判別不能のものも含めて3分類した。以上を資料として、主として、三つの検討を試み、おおよそ以下の知見を得た。 1)色温度による天空状況の判別 色温度10000K以上は晴天空である。これ以下の部分は晴天空と雲が混在する。雲の色温度は約3000Kから8500Kで、5500Kから6500Kに頻度が高い。晴天空の色温度の範囲は比較的大きい。そのときの太陽との角距離が大きい天空要素は色温度で判別ができる可能性がある。低温度の天空要素や、太陽に近接する天空要素の判別は色温度のみで可能かどうか疑問が残る。太陽高度が低いときの判別は困難である。晴天時の地表に近い薄くもやのかかるときの天空要素も判別困難である。これらについてはおおよその判定境界線の作成を図上で試みた。 2)晴天空の色の数式化 本研究では、雲量の自動測定のために色温度の定性的解析と晴天空の色温度の確定により晴天空と雲の判別を試みている。このために、晴天空の色を数式化して確定することを試みている。すなわち、晴天空の色温度は、太陽高度、太陽からの角距離、天空要素の高度、大気透過率で定まるとした。これに関し、昨年度の研究でおおよその数式化を試みたが、若干の係数が一般化されていなかった。本年度の測定結果を用いてこれを試み、また、その結果を測定値と比較して満足する結果を得た。
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