本研究では、まず、天空を分割し色度計でスキャンして、それぞれの代表点の色度、色温度と天空の分布を測定した。測定回数は、1991年は22回、1992年は116回、1993年は226回である。これらのうち、1992年分の72回と1993年の測定では、測定点の天空要素の雲、乃至、空の視感判別を試みた。更に、1993年度の測定では、目視による雲量の主観測定も試みた。本研究では以上の測定結果を資料として、以下の検討を試み、おおよそ次のような知見を得た。 色温度10000K以上は晴天空である。これ以下の部分は晴天空と雲が混在する。雲の色温度は約3000Kから8500Kで、5500Kから6500Kに頻度が高い。晴天空の色温度の範囲は比較的大きい。そのときの太陽との角距離が大きい天空要素は色温度で判別ができるようである。低高度の天空要素や、太陽に近接する天空要素の判別は色温度のみでは不可能である。太陽高度が低いとき、晴天時の地表に近い薄くもやのかかるときの天空要素も判別困難である。これらについてはおおよその判定境界線の作成を図上で試みた。 天空要素の雲か空かの判別と実測した色度を対応し、太陽高度、天空要素の高度、太陽と天空要素の角距離のそれぞれについて、色温度との対応を試み、その領域を示す回帰式を求めた。これに関し、測定資料をコンピュータでソートした。さらに雲量を計算した。これと測定点の天空要素の視感判別とその占める立体角より求めた雲量を比較した。また、目視による主観判断による雲量とも比較した。その結果、雲量の差を2まで許容して、合致率は両者ともおおよそ75%前後であった。 以上の研究成果は、従来、主観判断に頼り、甚だしく厳密さを欠いている雲量を絶対的に測定し、天空要素の色度によって、人手を介さない自記記録装置付の長期連続測定機器の開発の可能性を示すと考える。
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