研究概要 |
今日、日本の都市部及びその周辺に於いて、鉄骨造や鉄筋コンクリート造による集合住宅や併用住宅の建設が盛んに行われているが、これらの主たる担い手は中小規模の建設業者であり、この技術向上を行わなければ高品質な建築物の生産は望めない状況下にある。本研究では、これら中小規模の建設業者の保有技術レベルに着目して、これらの実態について明らかにし、今後の方向について考察した。 (1)まず文献調査により、一般的な建設業者の保有技術レベルを把握した。これによると先進的な技術の多くは大規模な建設業者においてのみ採用されている。その理由としては、特許などではなく、情報の不足とコストガ大きいことが分かった。また、中小規模建設業者に適用可能な技術として、PC部材の可能性が高いことも分かった。 (2)これに基づき、中小規模の建設業者の保有する技術レベル等に関してアンケート調査を行った。(データ数:72社、年商:32億〜1,100億円)アンケートの分析結果から、中小規模の保有技術レベルの概要とそれらの生産体制について明らかにした。このなかで、技術を高めるべき部署の不在、技術情報の不足、現場間の情報流通の不備等が明らかになり、保有技術レベルの把握と同時に技術向上のための体制の不備が明らかになった。 (3)今後中小規模建設業者に普及させるべき技術としてPC化技術を取り上げ、そのサポート体制や開発の方向性などをアンケート調査した。(データ数:75社)これによると構造用PCを提供する能力はPC部材メーカーにはまだなく、これらを共同で採用するような中小規模建設業者間のつながりが必要になってくると考えられる。 (4)中小規模建設業者の技術の向上を可能にするために、技術を提供するメーカーの役割や中小規模建設業者に必要な条件について考察した。
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