研究概要 |
本年度は、避難・防災からみた地下空間の利用実態や災害の発生状況を把握するとともに,わが国有数の規模を有する梅田地区地下街(大阪市北区)を調査対象にして,避難安全性からみた大規模地下街の問題点を明らかにするための基礎調査を行った。研究成果の概要は,以下のとおりである。 1.地下空間の利用実態調査 京阪神地区を対象に,地下街やビルの地下階の形態・避難施設・通路形状・利用目的などの空間特性の実態調査を行った。その結果,地下街の通路形態,地下街における業種配置,地下の階数による利用形態の違いなどが明らかになった。 2.地下空間における災害事例の調査 地下空間で発生した過去の災害事例を収集・分析した結果,火災に限らずガス漏れ・水害・陥没などの各種災害が多く発生していること,またその多くは消火・救助などに手間取っていることなど,現在の地下空間が災害に弱い構造であることが示された。 3.大規模地下街における人間行動の調査 梅田地区地下街全域で歩行者の追跡調査を行い,地下街利用者のゾ-ン間移動の実態,滞留時間,行動軌跡等を調べ,地下街の群集の流動特性を明らかにした。
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