研究課題/領域番号 |
03452236
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
建築史・建築意匠
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
伊藤 延男 神戸芸術工科大学, 芸術工学科, 教授 (40124193)
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研究分担者 |
藤川 昌樹 筑波大学, 社会工学系, 講師 (90228974)
浜島 正士 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 教授 (20156392)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 日本 / 中世 / 近世 / 建築 / 細部 / 装飾 / 変遷 / 文化財 |
研究概要 |
日本建築は、中世初頭に中国より宗様式を受け入れて以来、次第に装飾主義的傾向を強めて、近世に至った。研究代表者である伊藤は、早くからこの歴史に着目し、その時代的、地域的、流派的変遷を示す中世建築資料を収集し、いくつかの著書や論文を発表してきた。今回の研究は、新しい研究分担者を得て、研究の範囲を近世初期の寛永年間にまで拡大するとともに、資料の厳密性を高め、以て研究の完成を期そうとするものであった。この目的のために、1)従来収集してきた資料を整理、吟味するとともに、2)現地調査を行い、3)各機関に集積されている資料の入手に力を尽した。 この研究のためには、文化庁所蔵の資料がきわめて重要であった。幸いに、許可を得て、文化庁の所蔵する図面マイクロフィルム約2万1千枚焼付を得ることができた。しかし、その他にも新資料で公表されていないものも多量にのぼっているので、しばしば文化庁に出向いて、資料化に努めた。国宝、重要文化財修理報告書その他の諸報告を活用したことはいうまでもない。 資料を収集整理してゆくうちに、細部装飾のうちでも、蟇服(特にその足元の形)と木鼻(特にその渦文)とがもっとも重要な指標となることが判明してきたので、これらを重点的に研究することとした。その結果、蟇服約700例、木鼻約950例を得た。これらを分析した結果, 1)中世におりる奈良系意匠と京都系意匠の交錯する地域の究明 2)同じく中世における東国系意匠の成立と京都系意匠の交錯の究明 3)近世的意匠統一過程の究明 4)近世初頭の大規模工事における流派の錯綜究明 等に一定の前進をみた。今回提出の成果物には単にその概要を記したが、今後学会誌等を通じ、問題点ごとに詳細な発表を行う予定である。
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