研究課題/領域番号 |
03452242
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡田 亜紀良 北海道大学, 工学部, 助教授 (40001341)
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研究分担者 |
石田 巌 北海道大学, 工学部, 助手 (30001267)
義家 敏正 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (20124844)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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キーワード | 傾斜機能 / 表面層 / フラクトグラフィー / コーティング / 界面 / 微細組織 / 境界 / 複合材料 |
研究概要 |
精密機器における材料物性の最大限の利用には、表面構造の改善のための傾斜機能材料の生成が不可欠である。本研究課題では、当初マクロ的な意味での傾斜機能材料すなわち高温度勾配耐熱材料のコーティング層の形成などを対象に考えていた。しかし研究の進展にともない高度技術分野においては、材料の物性、例えば磁気ヘッド磁性あるいは超精密加工面のトライボロジーに関連するような表面のミクロな構造の重要性、および材料特性の改善のための傾斜機能性物質の積層が重要となることを感じた。この場合サブミクロンの構造を持つ傾斜機能層の積層基盤としての仕上げ表面の構造はきわめて重要である。このような理由により研究の方向をこの問題へと転換するため、本課題研究の後半においては主として表面の問題を中心として研究を進めてきた。 最終年度では主として精密加工された結晶材料を対象とした。はじめに、脆性材料であるフェライト単結晶の研磨面の加工歪層を種々の結晶方位について電子顕微鏡、RHEED、ラザフォード後方散乱等により調べた。その結果、表面のあらさは研摩された結晶方向により異なること、また表面から約0.02μmまでの深さまで微細に破砕された結晶領域が存在し、それより深い処には特定方向に配列した転位が存在することを明らかにし、さらにこれまで報告されているようなアモルファス層の存在を顕微鏡像として確認した。このような被砕層は秒単位の化学研摩により完全に除去しうる事を確認し、また研摩条件の設定によりこのような表面の組織形成を制御できる可能性を示した。一方、塑性の大きい材料である金属として銅単結晶の超精密切削を行った。形成される加工歪層は切込み深さに比べて非常に大きい。すなわち、超微小硬度計による測定によれば、加工歪層の深さは0.5μmの切込みに対し少なくとも1μmの深さまで達していることが分かった。Knoop圧子を用いた超微小硬度計により、この歪層は結晶方向に対応した異方性を有することを明らかにした。これらの結果は超微細構造からなる傾斜機能材料の実現とその物性の制御にきわめて重要な情報を提供するものである。
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