研究課題/領域番号 |
03452247
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
沖 憲典 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (70037860)
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研究分担者 |
板倉 賢 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (20203078)
松村 晶 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (60150520)
桑野 範之 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (50038022)
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キーワード | 逆位相境界 / 相転移過程 / 鉄ーシリコン合金 / 銅ー白金合金 / 自由エネルギ- / 時間依存ギンツブルグ-ランダウモデル / 規則合金 / 長周期構造 |
研究概要 |
本年度は主にFeーSi合金とCuーPt合金の試料について相転移に伴う逆位相境界付近の状態を電子顕微鏡により詳細に観察した。得られた結果を以下に示す。 1.Feー14.6at%Si合金をB2均一規則状態にした後DO_3単相領域で焼鈍していくと、DO_3規則相特有のa/2〈110〉逆位相境界付近において不明瞭なコントラストをもつ領域が出現し、この領域が焼鈍時間の増加、すなわち規則化の進行とともに拡張されていくことが判明した。また、この不明瞭なコントラストを示す領域は逆位相境界が試料の厚さ方向に湾曲して生じたものではなく、逆位相境界にFe濃度の高いB2規則相が偏析したために現れることがわかった。このことは、Feー14.6 at%Si合金がDO_3化学量論組成より過剰のFe原子をもっているため、B2→DO_3相転移の進行に伴って生じた余剰のFe原子が逆位相境界に凝縮されることを示唆しており、逆位相境界が余剰な原子を引き取ることにより非化学量論性を有する規則合金の相転移が円滑に進行することが明きらかとなった。 2.Cuー24.4at%Pt合金についてLl_<2ーe>→Ll_2転移の初期段階を観察したところ、周期的逆位相境界の一部が揺らぎ、この部分で隣接する逆位相境界と接合してヘアピン形状となり、このヘアピンが後退することで周期的逆位相境界が消減することがわかった。次に、長周期構造(Ll_<2ーe>)相の状態を規則度波で表し、これに規則度の揺らぎに伴って生じる界面エネルギ-と熱揺動を加え、これを時間依存ギンツブルグ-ランダウ(TDGL)展開式により記述した自由エネルギ-の速度方程式をたてた。これを用いてLl_<2ーe>→Ll_2転移過程の計算機シミュレ-ションを行った結果、周期的逆位相境界近傍の規則度が局所的に変動して逆位相境界が湾曲し、この部分が隣接する境界と結合してヘアピン形状となり消滅していく過程が再現できた。
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