研究課題/領域番号 |
03452247
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
沖 憲典 九州大学, 総合理工学研究科, 教授 (70037860)
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研究分担者 |
板倉 賢 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (20203078)
松村 晶 九州大学, 工学部, 助教授 (60150520)
桑野 範之 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (50038022)
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キーワード | 規則・不規則転移 / 逆位相境界 / 自由エネルギー / 速度方程式 / 銅プラチナ合金 / 鉄シリコン合金 / シミュレーション / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
本年度は昨年度にひきつづき、規則度を状態変数とする系についての速度式を逆位相境界構造に適用し、逆位相境界の形状変化の計算機シミュレーションを系統的に行った。ただし、実験結果と対比させるために、Cu_3Pt合金を想定してエネルギーパラメーターの値を定めた。その結果、つぎのような結論を得た。(1)組成不変(congruent)規則化を仮定しても、規則化温度以下において逆位相境界が一定の幅を持つ、すなわち不規則領域による「濡れ」の現象が期待される。(2)規則化温度以上においては、逆位相境界の幅が時間とともに増大することにより不規則化は進行することが予測される。(3)平滑な面からなる逆位相境界は、比較的高温域では熱揺らぎのために表面に凹凸ができ、そこから「くびれ」を生じ、ついにはそれが1対のヘアピンとなって消滅に向かう。低温域では逆位相境界エネルギーが相対的に高くなるので、境界表面に凹凸ができにくくなり、逆位相境界は停留することになる。これは長周期逆位相構造(L1_<2-s>)は通常の規則構造のL1_2が安定な低温度域でも準安定化することを示唆している。これらの内、(1)については他の研究者が行ったクラスター変分法による計算結果と定性的ではあるが、良い一致を示している。また、今回得られたシミュレーションの結果を確かめるためにCu_3Pt合金を用いてX線回析実験および透過電子顕微鏡観察を行った。L1_<2-s>バリアントサイズを変えた試料をL1_2安定領域で焼鈍すると、バリアントサイズが小さい試料では逆位相境界が消滅してL1_2に転移するが、大きい試料ではL1_<2-s>のまま在留した。バリアントサイズが小さい試料では、逆位相境界は、バリアント境界のみならずバリアント中に多く残留する熱的逆位相境界を介して消滅し始めることが認められた。これらの結果は、逆位相境界が規則-不規則転移過程に大きな影響を与えていることを示している。
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