研究概要 |
銀シ-スに封入した酸化物超伝導体の圧延による変形をシミュレ-トするため、Y系超伝導材をアルミ管に充填して平線圧延を行い、パススケジュ-ルが芯材の変形に及ぼす影響を明らかにした。外径12mm、内径8mmのアルミ管にY系超伝導粉末を充填し、外径3,4,5mmまで曲線したものを、1パス当り30%で5パス圧延し全圧下率83%、および1パス当り10%で15パス、全圧下率79%の2種のスケジュ-ルで圧延した。その結果、幅広がりは1パス圧下率が高いほど、素線径が小さいほど大きくなり、ロ-ル間隙形状比が大きいほど幅広がりが大きいという従来の知見が、酸化物粉末を封入したシ-ス材の圧延にも当てはまることがわかった。また、全圧下率が高くなるとシ-ス芯材との界面にうねりが生じ、超伝導部の断面形状が長手方向に不均一になった。この傾向は、1パス当りの圧下率が高いほど顕著であった。次に、銀シ-スBi系超伝導線材の超伝導特性に及ぼす圧延方法の影響を調べた。外径12mm、内径8mmの銀管にBi系超伝導材を充填し、外径5.2mmまで伸線し、板厚2mmまで平圧延したものを、サテライトミルによる延伸抑制圧延、異径ロ-ル圧延、通常圧延の3種の圧延方法で板厚1mmまで圧下した。これをそのまま、および10パスで板厚0.2mmまで圧下したものの2種を焼成し超伝導特性を調べた。その結果、板厚1mmでは異径圧延材のJcが2700A/cm^2と最も高く、板厚0.2mmでは延伸抑制圧延後平圧延したもののJcが1200A/cm^2と最も高かった。c軸の配向度もこれと対応した。ただし、板厚0.2mmの試料では、シ-スと芯材の果面にうねりが生じたが、これはアルミシ-スY系超伝導材の実験結果から、パススケジュ-ルを最適化することによって改善できると考えられる。以上より、サテライトミルによる延伸抑制圧延が、酸化物超伝導線材の特性向上に有効であることが明らかになった。
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