研究概要 |
昨年度行ったTi-45at%Al組成のMA-HIP焼結体について,さらに1173Kでの歪速度変換試験を行い,昨年度の1273Kでの実験結果とあわせて,一定応力下における,この材料のクリープ変形の活性化エネルギー,_cを求めたところ,274KJ/moleという値を得た.この値は従来の報告(Q_c390KJ/mole)に比較して,著しく小さく,このことから,(TiAl+Ti_3Al)等軸微細二相混合組織の超塑性変形過程は,粒界拡散によって律則された粒界すべりにより進行するものと想定された. 本年度は,昨年度の研究結果をふまえて,いわゆるTi-rich TiAl金属間化合物と呼ばれるTi-48at%Al組成のMA-HIP焼結体を昨年度と同様の手順で作製し,この焼結体について次の3種の引張試験,(1)1223K,1273Kおよび1323K,初期歪速度範囲2.5×10^<-4>s^<-1>〜3.0×10^<-2>s^<-1>における歪速度変換試験,(2)1223Kおよび1323K,初期歪速度2.8×10^<-4>s^<-1>および5.3×10^<-3>s^<-1>における引張破断試験,(3)HIPまま材(平均粒径d^^-=0.9μm)および1473K焼鈍で作製したd^^-=1.6μm,d^^-=2.6μmの3種の試片についての1273K,初期応力σ_i=50MPaでのクリープ試験を行った.(2)の結果では最大549%に達する.いずれも大きな伸びを得たので,(1)の結果で応力指数n〓2の領域(10^<-3>〜10^<-2>・s^<-1>の比較的高歪速度域)での一定応力下における歪速度の温度依存性から活性化エネルギーを求めたところ,350KJ/moleを得た.この場合,(3)の試験により,歪速度の結晶粒径依存性を示す指数p=2を得ているので,上述の活性化エネルギーは格子拡散の活性化エネルギー,Q_Lに相当する.したがって,上述のような本焼結体の超塑性変形は,TiAl中における最も緩慢な成分の格子拡散によって律則された粒界すべりによって進行するものと結論された.本研究ではさらにTi-45at%Al組成のMA粉末の焼結過程における生成相の変化についてもX線回折と分析TEMによる検討を行った.
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