研究概要 |
ガスタ-ビン、ボイラ-などにみられる高温腐食,特に,溶融塩の関与したホットコロ-ジョンの機構を解明するため,本研究では,ホットコロ-ジョンが開始するまでの潜伏期間に,溶融塩が,いつ,どこで,どのように形成されるか,をその場観察する装置の開発とホットコロ-ジョンの機構を解明することを目的に研究を進めている。 既設の走費型電子顕微鏡に低真空排気差動システムを設置し,さらに鏡体内で試料を加熱するための装置をこの1月までに組み込むことができた。それゆえ,現在,この新しく開発した装置の性能を確認する実験を行っている。腐食雰囲気で溶融塩が関与した試料の観察は4月以降に実施する。 これら新しい装置の開発と平行して,その基礎となる実験を,通常の反応装置による腐食実験を実施した。その結果,鉄基合金の腐食形態は硫黄分圧と合金元素に依存し,例えば,FeーCu合金ではFeSの解離圧より低いとき,合金の粒界が選択的に腐食される。一方,FeーMn合金では通常の内部硫化が観察された。 粒界が選択的に硫化されたFeーCr合金の濃〓分布をEPMAで測定しまた,解析的に濃〓分布を計算した結果,両者には良い一致がみられたしかし,さらに高温の900℃で酸化したところ,通常の内部硫化になった。これは,先ずCrが選択的に硫化されることによって合金表面にCr欠乏層が形成し,母〓のα相がγ相に変化することと密接に関係していることが明らかとなった。
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