タービン、ボイラなどの高温燃焼装置では、燃料に含まれる硫黄、バナジュムなどの不純物のため、苛酷な高温腐食をうける。この高温腐食は溶融塩の形成によるいわゆるホットコロージョンと亜硫酸ガス、硫化水素によるガス腐食に大別される。 しかし、現在、ホットコロージョンの初期過程については不明な点が多い。著者らはホットコロージョンの前駆現象の解明は重要な課題であると考えている。 本研究では、初年度にガス腐食による腐食挙動の変化を詳細に解明し、これと併行して、腐食をその場観察できる装置を試作した。今年度はこの新しい装置の性能をチェックし、その場観察の可能性について検討した。得られた結果は以下のように要約される。 (1)現設の走査電子顕微鏡の電子鏡室と試料室を分離するため、室内排気システムを増設した。 (2)試料を加熱するためのホットステージを設置した。この装置は特註のため、また、その性能をチェックするため、約半年を要した。 (3)各種金属・合金、混合塩の加熱・冷却による相および表面構造変化を観察し、写真撮影した。その結果は、各試料はほぼその融点で溶解することを確認した。 (4)しかし、溶解過程は短時間に完了するため、溶融・凝固現象を詳細に記録することは出来なかった。今後、ビデオモニターシステムを増設し、追跡する予定である。
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