研究概要 |
初年度にあたる当該年度の当初計画では,次の4項目を計画した: 1.微視力学モデルに基づく弾塑性構成式の定式化 2.熱・弾塑性応答の数値解析ソフトエア作成 3.局部加熱方式動的熱変形試験装置の製作 4.クリ-プ効果の基礎的検討 まず,1および2については,ミゼス塑性体としての金属相が弾性セラミックス相の力学的拘束下で塑性流動することによる弾塑性変形状態を想定し,エネルギ原理に基づく独自のアプロ-チを展開して,一般の多軸応力下で一様な温度変化が生じるとした場合の熱弾塑性挙動を数値的に解析する方法を定式化し,そのソフトウェアを作成した.さらに,セラミックスー金属接合構造における傾斜組成制御インサ-ト層の熱応力緩和設計に本微視力学解析システムを応用すべく,巨視力学的には平面応力状態が仮定できる薄板状傾斜組成制御体の弾塑性熱応力に関する微視力学的解析法を増分形式で定式化した. 3については,赤外線導入加熱装置,(現有の赤外線熱画像装置用)リアルタイムレコ-ダおよび近接拡大レンズを当該補助金により購入し,他の現有機器と組み合わせて当初の設計を部分的に変更しつつ装置の試作を進めている. 4については,まず加熱部側面2方向透視型赤外線イメ-ジ炉(特注品)および可視光レ-ザ外径測定器を購入し,現有の電気油圧サ-ボ式疲労試験機と組み合わせて,高温での微小変位測定が可能な引張・圧縮サイクリック試験装置を試作し,モデル材であるAlーAl_3Ni系複合材料を供試体として,室温から500℃の温度域で歪振幅または応力振幅を一定として定歪速度繰り返し引張・圧縮試験を行い,観察されたバウシンカ-効果および機械的ラチェット変形をクリ-プ効果を考慮した微視力学モデルと比較・検討した.
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