研究概要 |
チタン基FRMは耐熱性FRMとして最近有望視されている。しかし.マトリックスとしてCPTiやTi-6A1-4V合金を用いたFRMは,高温にさらされるとSiCとマトリックスの脆弱な反応層が成長し,機械的性質などに大きな影響を与える。そこで本研究では反応をかなり抑えられると考えられるTi-A1金属間化合物をマトリックスとして使用したFRMの作成およびその基本的性質の解明を目的とした。FRMの作製法はいくつか考えられるが,金属間化合物箔の間に繊維をはさみホットプレスする方法を用した。結果および得られた知見を以下に示す。 1.密着性に関する検討 複合材料の機械的性質には繊維とマトリックスの密着性が影響する。密着に対する必要条件を明確化するために,マトリックスの組成変形機構とクリープ変形機構を取り入れた密着変形モデルを作り,数値計算を行った。その結果,変形密着過程をほぼ予測計算することができるようになった。さらに条件を代えて実験を行い,モデルの適応限界を明らかにした。 2.界面反応に関する検討 複合材料の機械的性質に対しては,界面反応も重要となる。密着の達成される条件の中で,界面反応の影響が無視できる条件領域を以下の手法で探した。Augerによる界面反応物の同定,EPMAによる界面元素分布の分析,マトリックスの組織観察である。 3.機械的強度に関する検討 上述の検討で作製条件はある程度限られた。その条件の近傍で作製条件を設定し,機械的性質を調査した。箔と繊維を5〜10そう重ねたFRMをホットプレス装置で作製する。それから試験片を切り出し機械的性質を調査する。機械的性質および生成層の幅と作製条件の関係を詳細に調査した。機械的性質としては,常温強度,高温強度を調査し良好な結果を得た。
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