本年度は、まずリアルタイムで土試料表面の歪分布を計測できるレ-ザ-スペックル歪分布計測システムを構築した。本システムは、レ-ザ-光源と干渉計を設置した防振台上のスペックル発生システム(NEOー15MS)と、レ-ザ-光の試料表面での乱反射によってできたレ-ザ-スペックル像をCCDカメラでコンピュ-タに取り込んで変形前の像との比較計算による歪計測を行う画像処理システム(DSPTー9506)で構成されている。 歪計測ソフトウェアは、まずDSPTに付属するコマンド群でスペックル干渉法による歪分布縞模様をリアルタイムに求めるソフトを作成した。次にスペックル相関法による歪計測のために二次元FFTル-チンを含めてC言語による歪分布の定量化ル-チンを作成し、現在デバッグ中である。またLagrange定式化に基づく幾何学的非線形性を考慮した大変形有限要素解析ル-チンの作成・デバッグも進行中である。 歪計測の予備試験は、カオリン系Crown clayを予備圧密した粘土供試体の一軸圧縮試験で行った。この試験は静的試験であるため、リアルタイム歪計測処理は行わず、上述のスペックル干渉法による干渉縞による簡易計測を実施した。この結果、圧縮過程における供試体の歪分布を実際に目で観測でき、ピ-ク応力到達以前からのせん断面の形成過程が識別できることがわかった。さらに遠心載荷装置への適用を試みるために、回転速度による模型表面の移動を消すレ-ザ-光の最適二光路入・反射角度や、画像取り込みのタイミングなどの調整を行った。遠心載荷装置による藤の森粘土の自重圧密で作製した粘土地盤の支持力試験を対象にして、スペックル干渉縞の観測と二次元歪分布の定量化に向けた画像処理速度の向上に現在努めている。
|