レーザースペックル相関法によって、土供試体表面の歪分布を非接触で高精度に計測する方法を確立した。本計測法は、一種のレーザー干渉縞であるスペックルが物体表面の変形に線形に移動することを利用したものであり、CCDカメラとDSPパソコン画像処理、高速相関係数計算法を用いて物体表面の局部歪分布計測システムを確立した。画像取り込みからひずみ分布表示までに要する時間は約4秒であり、C言語プログラムの改良によって時間短縮の可能性があると思われる。 本装置を使って、まず三軸試験供試体表面の局部歪分布を計測し、通常の排水三軸試験結果と歪経路制御試験結果について、軸歪1%毎の供試体表面の局部歪分布を比較した結果、前者よりも後者の方が大歪領域においても局部歪分布が比較的均質で、膨張体積変化量が大きく、ピーク応力が約10%小さいことが判明した。 さらに土構造物模型の遠心模型試験に適用して、表面の局部歪分布のリアルタイム高精度計測を実現した。リアルタイム計測によって破壊加速度をより正確に求めることができるだけでなく、従来のようなマーカによる写真撮影での時間と精度の浪費から開放されるという大きな意味をもっている。また、ダムなどの重要構造物の微小歪から限界状態にいたるまでの歪分布を正確に把握できることによって、構造物の安全設計に大きく寄与することができる。さらに、遠心模型試験での歪分布計測結果と数値解析で得られた歪分布計算結果を直接比較することにより、微小歪から大歪領域にいたるまでの数値解析結果を検証でき、さらにこれに組み込まれた土の構成式やパラメータの妥当性を検証できるという大きな意味をもっている。今後はこれらを統合化し、土構造物の限界状態設計法の確立へ向けて研究をさらに発展させたいと考えている。
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