研究概要 |
本年度の研究により得られた主な成果は、以下の通りである。 1.前年度に引続き,砂を充填した土槽において,土層厚を一連に変化させて走行試験を行い、駆動トルク,けん引力,沈下量,すべり率,車輪面の法線・接線応力分布,土中変位,歪分布等の力学的諸量の厳密な測定を行い,特に,土層厚の増大につれて,けん引力は一旦急激に減少した後,極小,極大値を示し,その後,半無限地盤に向かって漸減することを見い出した。これは,剛体面摩擦およびせん断応力の極大値を示す密な砂の単純せん断特性によって定性的に説明できることを示した。なお,せん断応力が単調に増大する単純せん断変形特性は緩い砂あるいは正規圧密粘土においては,土層厚とともにけん引力は単調に減少すると考えられることを指摘した。 2.前年度に開発した車輪走行現象解析用の弾塑性有限要素プログラムは,車輪面と土との摩擦および接地荷重一定の境界条件の処理に試行繰返し計算法を用いているので,その収束演算に極めて多くの計算時間を要する。そこで,摩擦条件については摩擦力と相対変位の関係を規定して滑らかに摩擦条件に至る拡張摩擦則を開発導入し,また,接地荷重については車輪面との接触節点の鉛直外力の和が一定の条件を解析的に組み込むことにより,繰返し計算無しに求解可能なプログラムに修正を行った。さらに計算速度の向上を図るため,ベクトル計算方式への改良を行った。 3)本プログラムにより,実験と同一条件において,車輪走行現象に解析を行い,土中変位,ひずみ・応力分布等を算定出力した。なお,土中変位,ひずみ分布は実測結果の傾向を十分表現するものであることが把握された。
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