研究課題/領域番号 |
03452277
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
安田 克廣 長崎大学, 歯学部, 教授 (50013884)
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研究分担者 |
馬場 恒明 長崎県工業技術センター, 研究員
田中 康弘 長崎大学, 歯学部, 助手 (10217086)
有働 公一 長崎大学, 歯学部, 助手 (60145266)
久恒 邦博 長崎大学, 歯学部, 助教授 (20037526)
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キーワード | AuCuーAg擬二元系合金 / 規則格子変態 / スピノ-ダル分解 / 時効硬化 / 歯科用金合金 / X線回析 / 制限視野電子回析 / 高分解能電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究の目的は歯科用合金結晶内に存在する、あるいは熱処理によって導入される長周期逆位相境界、双晶境界、異相境界などの界面構造を高分解能電子顕微鏡法により原子尺度で解析し、これらの界面構造の特徴と合金成分・組成との関係、添加元素と生物学的性質、機械的性質との関係を解明することを目的としている。現在までに得られた結果は以下の通りである。 1.化学量論的組成のAuCu合金における規則化過程を焼入れ焼戻し時効および直接時効により比較検討したところ、630K付近を境にしてその上下の温度領域で規則化過程に相違が見られた。すなわち、この温度より高温側では不規則固溶体は準安定であり、規則化するまでに潜伏期間があるのに対し、低温側では不規則固溶体は不安定で直ちに規則化することからスピノ-ダルオ-ダリング温度が示唆された。 2.AuCuー1.5at.%Ag およびAuCuー3at.%Ag合金はAgーCu析出線の外側に存在するので不規則固溶体単相状態から直接、規則化を生ずるが、相律によって不規則固溶体f.c.c.α_0相とAuCu II規則相の共存が示唆される。高分解能電子顕微鏡観察はAuCu II規則相のマクロ双晶中に互いに交差して存在する薄板状のミクロ双晶の先端部分のひずみ場にα_0相が見出された。ミクロ双晶の先端部はAuCuー3at.%Ag合金では彎曲しているのに対し、AuCuー1.5at.%Ag合金ではこのような彎曲は見られなかった。AgーCu析出線とスピノ-ダル線の間の組成をもつAuCuー9at.%Ag合金の時効初期段階における規則化核の微細構造について解析し、Agーrichのf.c.c.α_2相とAuCu II規則相のサンドイッチ構造になっていることを明らかにした。また、AuCuーAg擬二元系合金で規則格子相と共存するα_2相の形態はAg濃度の低い場合には薄板状であるが、Ag濃度の増加に伴ってその厚さを次第に増し、Ag濃度14at.%ではブロック状になり、これに伴って微細組織は変化することがわかった。
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