研究概要 |
(1)ビスマス系バルク高温超伝導体ウィグラ-(周期長35mm,振幅2mm,蛇行面の間隔10mm)を試作して、相対論的電子ビ-ム(REB,340keV,1KA,10ns)の集束・蛇行に成功した。 (2)小型冷凍機を購入設置して、ビスマス系超伝導体レンズ(長さ55mm,入口径40mm,出口径10mm)の冷却実験を開始した。REBの空間電荷を中和するために、ネオンガスをREB発生ダイオ-ド部およびス-パ-トロン部に導入した。最適動作圧力は動作温度の低下に伴って0.15Torrから0.1Torrへと変化した。集束されたビ-ム径についてはまだ測定に至っていない。今後の課題として(1)超伝導体の臨界温度近傍における、ス-パ-トロンのREB集束性能を評価すること、(2)液体窒素による冷却温度よりも低温における、REB集束性能を実験的に調べることが課題である。 (3)理化学研究所の相対論的光電子ビ-ム源(RPE,600keV,1A,8ns、ビ-ム径6mm)とビスマスク系ス-パ-トロン(入口径10mm,出口径4.5mm,長さ50mm)とを組み合わせて、相互作用を観測した。ス-パ-トロンを真空中に設置した場合およびス-パ-トロン部のみに窒素ガスを導入した場合にも良い集束効果が認められなかった。その原因として、(1)ス-パ-トロンの入口径がRPE径に対して十分に大きくなかった、(2)窒素ガス導入のためにステンレススチ-ル箔(厚さ20μm)をス-パ-トロンの出入口に接着したので、RPEが散乱を受け、ビ-ムの指向性が大きく損なわれたことが挙げられる。 来年度には、理化学研究所に新たに設置される電子ビ-ム源(ディスクトロン)を用いて、ウィグラ-の実証実験をする予定である。
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