紫外部はパルスレ-ザの放電励起には、これまで横電場励起型が用いられている。プラズマ部インダクタンスが大きくなる縦電場型の放電励起も試みられているが十分成功していない。本課題の目的は、新しく提案している多重電極型縦電場放電による励起放電法を、取扱の容易なN_2レ-ザを主要な対象として確立することにある。本年度の研究により、大気圧での窒素レ-ザが縦電場で励起できることを初めて示した。 本年度の実施計画は、次の通りであった。1.次の装置を製作、研究する:(1)コンデンサ-と電極を一体とした構造の装置。(2)電極部を簡単化し外部コンデンサ-を各電極に接続する構造の装置。(3)希薄ガスに使用できる気密構造の装置。2.次の放電形式について研究する:(1)反転充電型。(2)交互充電型ブル-ムライン放電。(3)順方向充電型ブル-ムライン放電。3.次の事項に着手する:(1)コンパクトなパルスパワ-電源の試作について検討する。(2)真空紫外、軟X線観測のため回折格子分光器を製作する。 以上のうち、1.(3)、2.(3)を徐いて実施した。1.(1)の装置ではレ-ザを励起できなかったが、これは単にコンデンサ-の容量不足が原因であった。放電方式2.(1)も成功しなかった。これは使用した反転充電回路のインダクタンスが大きかったためで、最終の励起放電に際し、スイッチが回路に入らない利点を持っているので再び改良して実験する予定である。結局、現在N_2レ-ザの実験に使用しているのは1.(2)および2.(2)を組み合わせた方式である。この方式では放電回路にスイッチが入り、現在はそのインダクタンスによりレ-ザ励起放電の長さが制限されている。
|