研究概要 |
本年度は,最終年度であり,過去の2年間の研究成果を踏まえた上で,「高水準ビュー機能を持つマルチメディアデータベースシステムの研究」を,実際のシステムの実現化を中心として,主に以下の3つの課題に関して研究を行った. 1.利用者要求と表示限界を考慮したグラフィカル対話オブジェクトの生成 データベースから検索した結果が大量である場合,利用者はそれらの検索結果の一部を画面上に表示して,必要な情報あるいは情報の組み合わせを見つける作業は大変負担となる.そこで,この負担を軽減するために,検索結果のデータに重要度を割り付け,さらにその重要度に従って視覚化する方法を利用者が自由に設定できる枠組みを提案した. 2.コンカレント作業環境のための動的文字配置機能 システムが取り扱うデータが大規模になる場合,データベースの検索および検索結果を適切に視覚化する処理は両者とも応答時間が遅くなる.そこで,すぐになんらかの答えを利用者へ返し,時間が経てばその答えがしだいに完全なものになるという枠組みを提案した.答えが完全になる途中で,利用者は,次の質問や視覚化処理に移ることを可能にすることにより人間と計算機の並行的な処理を可能にした. 3.データベース質問作成工程の再利用に基づく対話型地図生成支援環境 データベースのメタデータに加え,地野分野のシソーラスと地図作成規則の知識ベースを用いて,地図に対応する質問の作成を誘導的に支援する機能の一般化を行った.この知識ベースは,あいまいさ,誤り,不十分さを含んだ利用者の質問を地図の理論記述として意味のある質問に変換するために用いる. 上記の課題の実用性を確認するために,この科学研究費補助金で講入したワークステーション上で,オブジェクト指向プログラミング環境VisualWorks/Smalltalk(Parc System Co.)を用いてプロトタイプシステムを作成した. 3年間の研究成果は,研究報告書としてまとめた.
|