研究概要 |
本研究の目的は、アンケート法によって高齢者の生活の実態をとらえること,身体部分係数を算出すること,これらの基礎的資料にもとずいて高齢者の走動作の加齢による変容をとらえることであった。 1.つくば市,取手市,伊奈町,谷和原町在住の高齢者339名(男子138名,女子195名)に身体活動量調査を行った。その結果,60歳以上の22.2%が有職者であり、かなり活動的な高齢者が多いことがわかった。また万歩計を用いて妥当性を検討したが,女性(r=0.655),年齢64歳以下(r=0.516),都市部在住者(r=0.546)では中程度の妥当性が得られた。 2.マスターズランナー(男子46名,年齢40歳から81歳)を対象として,5000mレース中の2000から2800m地点の疾走フォームを高速度VTRを用いて分析した。その結果,加齢に伴ってピッチはあまり減少しないが,ストライド,特に非支持期のストライドが大きく減少するため,疾走スピードが減少することがわかった。また,高齢者の疾走フォームには,中年者のものに比べて,離地時の足底屈および股関節伸展が小さく,体幹の前傾が大きいという特徴が見られた。このことから,加齢に伴って,足関節まわりの筋群の筋力や柔軟性がまず低下してくることが示唆された。 3.このほか,身体部分係数の計測および,歩行(通常,速歩),垂直跳,立幅跳の動作にみられる高齢者の特徴を明かにするための実験を33名の男子高齢者(61〜86歳)について行ったが,これらについては現在データ整理中である。今後は,40〜50歳の被験者についても同様の実験を行うとともに,60歳以上についてもさらに被験者を増やす予定である。
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