研究概要 |
Al基複合材料は比強度、比剛性に優れ、高温強度特性と低放射化特性の点から将来の核融合炉用材料としても期待されているため、本研究ではSiC/Al,C/Al複合材料などを基本とした先進金属基複合材料の非照射および中性子照射等による組織変化・強度特性・破壊挙動について評価する事を目的とした。 SiC/Alの強度向上を計るためマトリクッスにNiおよびSiを添加した結果、Ni添加ではAl_3Ni形成されマトリックスの強化で5wt%Niまで強度の改善が認められた。Si材では強度上昇は認められなかった。Ni材の電子線照射ではAl_3Niの粗大化現象が起り、中性子照射においてみNi材およびSi材ともに強度低下が起り、現段階ではSiC/Alが照射特性に最良と考えられる。また、中性子照射を行なった試料からSiC繊維を抽出し強度を調べた結果、結晶の微細化が促進されたため強度上昇が認められ、JMTRの10^<24>n/m^2照射では非照射材に比べ1.4倍、JOYOの10^<25>n/m^2照射では1.2倍が得られた。また、SiC繊維にNiイオン照射した場合にもSiC結晶の微細化が観察された。723Kで9x10^<25>n/m^2照射した繊維の表面は荒れが観察され照射による脆化の他に界面尊応が起っていると考えられる。 シャルピー試験に於いてはSiC/Al,C/Alの2x2x20mmの試料に深さ0.3mmのVノッチを入れ、中性子照射はJMTRで照射温度423〜453K、照射時間533時間、照射量は8.0x10^<23>n/m^2(E〉0.1MeV)で行なった。試験温度530Kにおける吸収エネルギーはSiC/Alの場合150Kの1.3倍、C/Alでは1.5倍を得た。また、シャルピー試験の試料サイズによる規格化を行なった結果、強度特性で良い一致が得られた。ASTM E399により破壊靭性値を算出した結果室温・非照射においてSiC/AlとC/Alで約16と15Mpa・m_<1/2>を得た。
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