1側面に流入孔、底面に流出孔のある薄い矩形容器において、2種類の液面の自励振動が観察された。1つはスロッシングであり、もう1つは下流の容器と交互に液位が上下する振動である。自励的スロッシングについて、次の発生機構を提唱した。循環流が重畳するスロッシングでは、一方の液面が下降するときと他方が下降するときとで液面に沿った水平方向流速に差がある。このため液面静圧も変動し、2次流れを生じなければ大気圧と等しくなくなる。この圧力差により下降中の液面がさらに押下げられる場合、振動にエネルギ-が供給される。循環流とスロッシング運動を完全流体の流れに置換え、振動発生条件を求めた。その結果、循環流中心がそれ自身の作り出している上昇流の側に片寄っているときエネルギ-が供給されること、などが導びかれた。実験装置において循環流の性状を調べ、上記のモデルは現象の特徴をよく表していことを確認した。下流の容器と交互に液位が上下する振動については、振動中の容器内フロ-パタ-ンの変化を可視化することにより次の知見を得た。水位の下降中は流入孔からの噴流が直接流出孔に吸込まれる。このため容器内の圧力損失は小さい。一方上昇中は流入孔からの噴流は一度底面に衝突した後流出孔に至る。したがって圧力損失は大きい。この圧力損失の変化が振動にエネルギ-を供給しているものと考えられる。2種類の振動とも発生の有無は容器形状に強く依存する。形状をいろいろに変化させて、スロッシングと液位振動の両者について発生の有無、その流量や容器内平均液位への依存性を調べ、マップとしてまとめた。
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