以下に示す4種の自励的液面振動現象を発見し、それぞれについて現象の特徴を明らかにするとともに、発生メカニズムの考察を行った。 1.容器内液面が自励的に揺動する現象を発見し、その性質を明らかにした。さらに振動へのエネルギー供給メカニズムについて考察し、容器内の循環流の中心がそれ自身の作り出している上昇流側に片寄っている場合にはこれとスロッシングとの重畳の非線形効果のためスロッシングを成長させるような圧力変動成分が現れることを見出した。観察された現象はこれでほぼ説明できるが、2次モードの成長などに関しては他のメカニズムも作用している可能性があり、さらに検討が必要である。 2.短い連通管で接続された2つの容器内の液面が交互に上下する現象を発見し、その性質を明らかにした。振動は上流側容器内のフローパターンの変化に起因するもので、連結管の動圧が上流側容器に流入する流れの動圧と上流側容器内静圧のどちらから変換されるかで生じる液位差分だけ変動することが分かった。 3.容器底面中央の流入口から垂直に液面を突き上げる平板状噴流の自励的首振り現象を発見し、その性質を明らかにした。噴流が盛り上げた部分の両側斜面は射流となっており、噴流は液面近くの圧力伝播を遮る。しかしながら噴流そのものは両側の圧力差に応答して首を振る。したがって振動数は同じ液深のU字管のそれに一致する。噴流の圧力波に対する大きな応答性が関与する振動であることが分かった。 4.もぐり堰を介して連結されている多液面系の自励振動現象を発見し、その性質を明らかにした。振動は液位と流量がある関係を満たすときだけに発生する。溢流のある副容器ともぐり堰を介して主容器の一部につながる部分の振動が主容器内のスロッシングにエネルギーを供給しているものと判断された。
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