研究概要 |
本研究では,これら未来の原子力エネルギ-機器で遭遇すると考えられるパルス的高熱負荷投入時の液体金属の沸騰伝熱・二相流流動特性について、1)沸騰開始条件(発泡過熱度)、非定常沸騰伝熱特性、および、焼損熱流束、2)極狭間隙等制限された空間における非定常沸騰二相流と発生圧力挙動等を調べることを目的としている。液体金属の急速な非定常加熱を既設の大容量の非定常電源を使用し、この直接通電ジュ-ル加熱方式で模擬する。 本研究では、所定肉厚の石英、ステンレスニッケル、および、タングステン製の細管に、電解質液(LiNO_3水溶液または液体金属を充填し、既設の大型非定常電源を用いた直接通電ジュ-ル加熱により、パルス的急加熱を行わせる。 実験装置は、内径2ー5mm,長さ50ー100cmのテスト細管部および液体金属のチャ-ジタンクと放出タンクからなる小型の実験装置が設計・制作された。加熱部細管として、透明な石英管とステンレス管および、ニッケル管を作成した。測定系は、過渡電流、細管に沿って数点の電圧変化、新しく開発した直接通電下の電圧変化を計測する3点式熱電対による壁温測定、および、テスト部下端部に取り付けたピエソ型圧力計による発生圧力の測定および細管上端部のインパクト管による流失液の流動測定、および、細管部流路に沿っての過渡的壁温分布測定等から成る。 これらの多点同時高速記録および計算機処理をするための計測システムとそのソフトを制作し、装置の全体的な性能について予備実験し、ステンレス管について加熱実験を行なった。同時に過渡沸騰条件(発泡過熱度)、過渡沸騰二相流の流動・発生圧力に関する解析モデルについて検討を行なった。今後は、加熱実験で出力を上昇させ、液体金属の非定常沸騰の本格的実験に取りかかる予定である。
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