研究概要 |
1.酸素濃度と製造法が異なる7種類のシリコンウエハを異なってスペクトルの中性子場(京大原子炉の圧気管と熱中性子設備,東大の高速中性子源炉,及び阪大の14MeV中性子場)で照射した。照射済みのシリコンウエハについて電気抵抗率の測定を行った。また,その両面に金及び金ーアンチモン電極をつけ,それぞれショットキ-障壁及びオ-ム障壁を構成した。そして,生成された格子欠陥のエネルギ-準位と準位密度を半導体中不純物測定装置を用いて測定した。その結果,電気抵抗率及び浅い局在準位濃度は,高速中性子によって大きな影響を受けるが,深い局在準位のエネルギ-位置,深い局在準位濃度及び捕獲断面積などは,照射する中性子スペクトルにあまり依存しない事が分かった。 2.京大工学部のタンデム加速器を用いてシリコンウエハにシリコンビ-ムを打ち込み,生成された欠陥濃度分布をラザフォ-ド後方散乱法によって測定した。一方,原子の衝突は2原子間のみで弾性的に越こり,試料のシリコンはアモルファス状であるとしてシミュレ-ション計算を行い,実験結果と比較した。計算結果は,実験結果から得られた欠陥の量よりも大きな値を示した。今回行った計算は,一次弾き出し原子ができ,弾き出し原子によるカスケ-ドが起こるところまで模擬した計算であり,実際には,生成された欠陥のアニ-リング等が起こるものと考えられる。今後,アニ-リングを考慮に入れた計算を行うべきである事が分かった。
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