研究概要 |
1) 地形図・文献・野外調査により武蔵野台地の古水文解析を行い,最終間氷期以降の地形発達史を明らかにし,地形・地質条件と河川や湧水分布の関係を明らかにした。 2) 武野野台地の湧水を分類し,崖線タイプの代表として深大寺湧水を谷地形タイプの代表として善福寺池を選定し,湧水周辺の地形・地質,湧水量と地下水位の関係,地下水のポテンシャル分布,揚水量と湧水量の変動特性等を調査した。湧出機構について解析を行い以下の結果をえた。(a)崖線タイプの湧出機構は,武蔵野礫層中をほぼ水平に流下する地下水が礫層の露頭面において湧出するもので,その集水面積は10^5〜10^6m^2のオ-ダ-であり,上流側200〜2000mの範囲から涵養された地下水を集めている。(b)谷地形タイプの湧水は,武蔵野台地全域にわたる地下水位の低下によって地下水流動が著しく変化した結果,その湧出能力をほとんど失っている。このタイプの湧水を復活させるには,武蔵野礫層中の地下水面を2mほど上昇させることが必要である。 3) 既存地下水資料の少ない狭山丘陵北側の金子台の地下水調査を5月に実施し,台地の地下水の存在状態を明らかにした。また8月には武蔵野台地西部における多摩水系の地表水と浅層地下水の採水を、11には東京都地盤沈下観測井を利用して深層地下水の採水と水温プロファイルの測定を行った。これらの調査によって,狭山丘陵の地下水涵養機能,武蔵野台地における流下に伴う地下水質の変化などが明らかになった。 4) ボ-リング孔内のポテンシャル分布を測定するためのダブルパッカ-式水圧測定装置については,設計・製作が終了し,100m深度のボ-リング孔による性能評価試験を計画中である。
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