研究概要 |
1)東京区部及び三多摩地区を対象に、既存のボーリング柱状図及び東京都地盤沈下観測井水位資料を整理し、1970,1980,1987の3年について南北6断面、東西6断面、深さ600mまでの、鉛直二次元地下水ポテンシャル分布図を作成した。この図から、地下水の開発と揚水規制に対して、東京都の帯水層・加圧層システムがどのように応答したかが明らかになり都市化に伴う水循環の変化に関する以下の情報が得られた。 (1)下町低地の地下水位が最低を記録した1970年には、最低地下水位は約-70mまで低下し軟弱層にストレスを与えた。地下水の地域的流動は、全体としては台地部から低地部へ向かっていた。 (2)立川断層はこの地下水の地域的流動を阻止する働きをしていた。 (3)1980年になると、下町低地の地下水位は揚水規制の効果で上昇したが、三多摩地区では地下水開発に伴う地下水位の低下が顕著になった。 (4)地下水の涵養源として、多摩丘陵や多摩川の他、狭山丘陵の役割も無視し得ないことがわかった。 2)ボーリング孔内の地下水ポテンシャルを測定するためのダブルパッカー式地下水圧測定装置については、昨年度設計製作が完了し、92年5月及び10月に100m深の花崗岩中のボーリング孔を利用した性能確認試験を実施した。25mから95mの間の孔内6ケ所の約5m区間において、各々20〜40分間の測定時間にて、平衡地下水圧に到達することが確認できた。また、フィールド用データロガーを利用しているため、1日間程度は無電源で使用できる。更に、上下パッカーの膨張に伴う水圧上昇とその後の区間地下水圧と平衡状態に至る迄に圧力の時間変化データを利用して、非定常単一パルス透水試験の解析を適応した結果、地下水圧測定区間岩盤の透水係数(10^<-6>〜10^<-8>cm/sec)の測定も可能であることが明らかになった。
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