研究分担者 |
河村 勝久 東海大学, 教育研究所, 助教授 (70119668)
石田 光男 東海大学, 開発工学部, 講師 (20232316)
梅原 智夫 東海大学, 海洋学部, 講師 (30056270)
渡辺 信 東海大学, 理学部, 助教授 (70240489)
田中 〓一 東海大学, 海洋学部, 教授 (00119687)
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研究概要 |
現在,理工科系大学希望学生の減少と数学学力の低下が大きな問題となっている.理工系希望者の減少は産業界が将来を憂えて改善策を模索している.学力低下の問題点は入学試験が厳しく,学校教育だけではなく民間の塾教育が活発に教育効果を上げる努力をしているが,年々学力低下はひどくなる傾向がある.特に私学における推薦入学等は受験勉強という今までの学力維持に水をさした.数学学力の低下を大学入学後に解決する方法を今回の研究課題とし,目標として「必ず個人が扱う内容をその時その時で完全に理解する」ことを揚げて,教育内容とその方法を検討してきた.個々人に学力をつけることはクラスの平均の向上を問題にするのではなく,一人一人を対象とする学力はその都度,評価することによって必ず改善される.また,少人数クラス制であるが常に一人の個人を対象としている.個人対象を可能としたのはCAIの積極的使用である.現在使用しているCAIはドリル型であり,演習用かつ試験用として機能している. 今度の研究は平成元年度からの実験的段階を踏まえ,学力回復のためのCAIソフトの改善を行った.高校教育の多様化が年々進むことと,三角関数等必ず学生がつまづく箇所が明確になったことが改善の理由である.学力低下の原因の一つにケアレスミスの結果から生じる自信喪失がある.本人が気付かない小さなミスが,学校教育の現在の方法では取り除くことが出来ない.個人を重視する教育こそ学力低下解決の対策に不可欠である.この個人を大切にした教育方法はCAIなしには不可能であることが明らかになった。数学学力の向大は数学の理解,研究だけに限らず,日常の大学生活の態度とも積極的に結びついている.今回研究対象の学力回復を目指した数学講義の効果は近視眼的な数学学力のみを対象とするのではなく,将来の一人の理想的な社会人としての人間形成の役割を果たすと考えられる.
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