研究課題/領域番号 |
03453009
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森島 績 京都大学, 工学部, 教授 (50026093)
|
研究分担者 |
石森 浩一郎 京都大学, 工学部, 助手 (20192487)
渡辺 芳人 京都大学, 工学部, 助教授 (10201245)
|
キーワード | 高圧下レーザーフラッシュフォトリシス / ヘモグロビン / ミオグロビン / 電子伝達 / 活性化体積 |
研究概要 |
本研究では本年度、以下の2点について研究を行なった。 1 高圧および常圧における分光法を用いた構造的解析 本年度はヘモグロビン単離鎖の高圧NMR、高圧吸収スペクトルを測定し、その構造変化を配位子結合反応の結果と相関させた。高圧NMRおよび高圧吸収スペクトルの結果から、βサブユニットの方がαサブユニットに比べ、圧力に対して敏感でより大きな構造変化が誘起されることが明らかになった。このことは従来、我々が得てきた配位子結合の結果、つまり、βサブユニットの方がαサブユニットに比べ低い圧力で結合過程律速から拡散過程律速へ変化することと対応している。また、高圧下での多次元NMR測定を実現するために、まず、高圧下での2次元NMRの測定条件を検討し、従来の耐圧NMRセルよりも試料部分がセルの底部に近いところに位置したほうが効果的であることを明らかにした。 2 高圧下レーザーフォトリシス法を用いた蛋白質内電子移動過程の圧力効果 本年度は電子伝達系のモデルとしてルテニウム錯体でアミノ酸を修飾した亜鉛置換ミオグロビンを用いた。ヘム鉄から約10A離れているヒスチジン48を修飾したミオグロビンの電子伝達速度は50000/s、その活性化体積は約+1ml/mol、また、約20A離れているヒスチジン81を修飾した場合には電子伝達速度、100/s、活性化体積、約+11ml/molであることが明らかとなった。以上の結果、特に活性化体積の値が大きく異なることから、両者の電子伝達過程の機構は大きく異なっていることが考えられ、電子伝達過程の速度は単なる電子伝達の距離の関数ではなく、その経路にあたるアミノ酸残基に依存するものと考えられた。
|