研究課題/領域番号 |
03453011
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
谷本 能文 広島大学, 理学部, 助教授 (10110743)
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研究分担者 |
藤原 好恒 広島大学, 理学部, 助手 (00209131)
藤原 昌夫 広島大学, 理学部, 助手 (00199390)
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キーワード | 磁場効果 / 光化学反応 / レ-ザ-化学 / 有機光化学 / 過渡吸収 |
研究概要 |
本研究では、レ-ザ-波長、レ-ザ-パワ-、2台のレ-ザ-のタイミングによる反応過程の制御・磁場による中間体のスピンの制御の機構の解明を行っているが、平成3年度は以下の研究を行った。 (1)308nm光を光反応用、532nm光を蛍光モニタ-用とするレ-ザ-2段階蛍光測定システムを製作した。不透明試料のためレ-ザ-閃光法による動力学的研究がこれまで困難であったゼオライトに吸着したベンゾフェノンとキサンテンの光反応を同法により研究した。その結果、吸着した励起三重項ベンゾフェノンは隣あったサイトに吸着したキサンテンから水素引き抜き反応を起こす(8.3x10^5s^<-1>)。生成したケチルラジカルは1.5x10^5s^<-1>で消失する。ゼオライトに吸着されたラジカル同志の反応ではラジカルの運動・距離が制限されるために磁場効果を示さないことなどが今回はじめて明かとなった。 (2)レ-ザ-閃光法により、ブロモメチルベンゼン、ブロモジフェニルメタンの過渡吸収スペクトルの励起波長依存性(266nm,308nm)・励起密度依存性を検討したが、大きな差異はみられなかった。高励起状態からの反応を行うには励起エネルギ-が不足している可能性があるのでは今後はレ-ザ-2段階励起により高励起状態からの反応を起こすことを計画中である。 (3)ベンゾフェノン(BP)とジフェニルアミン(DPA)をメチレン鎖末端にもつモデル反応系について、励起波長効果(308nm、337nm)と磁場効果・溶媒効果を検討した。BPを励起してもDPAを励起しても分子内水素引き抜きが起こり、中間体ビラジカルの減衰速度に顕著な磁場効果が見られた。磁場効果はラジカル対機構により説明され、メチレン鎖長・溶媒の種類により磁場効果の大きさが制御できることがあきらかとなった。
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