研究概要 |
1.溶液物性 Dodecylammonium perfluo-roacetate〈DAPA〉,Dodecylammonium perfl-uoropropionate〈DAPP〉,Dodecylammonium perfluorobutyrate〈DAPB〉について以下の実験を行なった。DAPAとDAPP及びDAPAとDAPBの2つの混合系のCMCを測定し、対イオン同志の相互作用を評価したとこら、PAイオンとPPイオンの間では理想的な相互作用を示し、理想的な混合ミセルが形成されるのに反し、PAイオンとPBイオンの間ではより強い相互作用を示し、混合ミセルのCMCは負にずれた。一方、多環芳香族化合物のDAPAミセルへの可溶化実験を引き続き行い、揮発性被可溶化物に適用可能な簡便な可溶化装置を開発した。この装置を用いてベンゼンの可溶化実験を行い、此迄のナフタリン、アントラセン、及びピレンの結果と合わせて芳香環の可溶化に及ぼす寄与を議論した。 2.単分子膜物性 前年度に引き続き、炭化水素イオン(C_mH_<zm+1>NH^+_3)と炭化弗素イオン(C_nF_<zn1>COO^-の疎水基の素数の合計(n+m)を20に固定し、両イオンからなる活性剤の2次元溶液物性に及ぼすmの効果を表面圧力-面積曲線及び表面電位-面積曲線を用いて調べた。その結果、界面状態の相変化に2種類存在することが判明した。第1のグループは、m=14、n=6とm=12,n=8であり、炭化水素鎖と炭化弗素鎖が共に水面に対して垂直に配向し、2本鎖の分子占有面積を持つ。第2のグループは、m=18、n=2とm=16、n=4であり、炭化弗素鎖を下相に向け、炭化水素鎖を上相に向けて配向し、1本鎖の分子占有面積を持つことが明らかとなった。
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