研究課題/領域番号 |
03453017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田隅 三生 東京大学, 理学部, 教授 (60011540)
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研究分担者 |
岡本 裕已 東京大学, 理学部, 助手 (20185482)
古川 行夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50156965)
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キーワード | 時間分解フーリエ変換分光法 / 赤外吸収スペクトル / 赤外顕微鏡 / 超小型冷却装置 / Nd:YAGレーザー / 3倍波 / 励起三重項状態 / ベンゾフェノン |
研究概要 |
前年度に製作した赤外顕微鏡付きの時間分解フーリエ変換赤外分光光度計にレーザー光を導入し、試料のレーザー光照射部分のみについての時間分解赤外スペクトクルの測定を種々の有機化合物について試みた。室温で赤外顕微鏡試料台上においた固体試料(KBr錠剤)についての測定では、アクリジン等について励起三重項に由来する吸収が観測されたが、他の有機化合物については、酸化と見られる化学反応やレーザーパルスによる局所的温度上昇、試料分子の蒸発といった望ましくない現象も鋭敏に検出される。そこで、赤外顕微鏡の試料台に置くことができる超小型冷却装置(MMR Technology社製R2300型)を用い、120K程度の低温、真空下での測定を試みた。これにより、室温、空気中での測定と比ベて、励起三重項状態等についての赤外スペクトルの測定が容易になる可能性が高まっている。 上記の超小型冷却装置の外寸は幅30mm、高さ19mm、長さ92mmで、透過型(光の通過する部分の直径約6mm)で使用する。乾燥窒素を冷却媒体とすると80Kまで到達するが、現在はアルゴンを使用し、約120Kで測定している(アルゴンでも95Kまで到達可能)。温度制御装置により低温から320Kまでの任意の温度に設定することができる。励起光としては、Nd:YAGレーザーの第三高調波(波長355nm、パルス幅約100ns、繰り返し3kH_2、平均出力約15mW)を用いている。 上記の装置により、ベンゾフェノン等の共役芳香族分子について、紫外パルス光照射中及び照射後の赤外スペクトルを測定し、その結果を解析している。低温においてもレーザー光照射による局所的温度上昇によりスペクトルの変化があり、これと光物理学的あるいは光化学的変化とを分離することが重要なことが明らかとなった。
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