1)ブリオスタチンの合成研究 ブリオスタチン11の全合成については、前年度までA環を含むC17-C27部分、B環部分(C10-C16)及びC環に相当するC1-C9部分の合成に成功している。平成4年度においては、各フラグメントの官能基変換およびそれらを順次結合することによりブリオスタチン11の全合成を試みた。以下にその概要を述べる。 第一段階として、C7-位に不斉中心(C7-OAc)をもつC5-C9部分を、すでに合成されているC10-C16部分に結合しC5-C16を合成した。さらにキラルなC4ユニット(C1-C4)を不斉アルドール反応に付した後、メトキシカルボニルメチレン基を導入し、目的とするC1-C16部分を合成することに成功した。合成したC1-C16部分は6個の不斉中心を有しているが、全て天然物のそれと同一の絶対配置を有している。現在、C1-C16部分のC16末端の官能基変換及びC17-C27部分のC17末端のスルホンの合成を試み、あわせてC1-C16部分とC17-C27部分のカップリング反応を検討している。 2)プリアノシン類及び関連化合物の合成研究 すでに前年度において、デイスコハブジンC及びバザレンCの全合成を完了している。平成4年度においては、構造的により複雑なプリアノシンAおよびワカインの全合成を試みた。後者は、強い細胞毒性を示すと共にトポイソメラーゼIIを特異的に阻害する。プリアノシンAについては前年度に引き続きテトラヒドロチオフェン環部の合成を試みている。一方ワカインについては、炭素結合の一個切断したセコワカインの合成に成功し、引き続きワカインの全合成を試みている。
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