研究概要 |
申請書記載の実験計画に基づいた研究により以下の成果を得た.特に,1.については,本研究経費により購入したプラズマ発光分光装置を用いて得られたものである. 1.固体膜イオン選択性電極の電位発生機構に関する知見を得るため,CuS,LaF_3固体膜ー試料溶液界面での物質収支をICP発光分光測定により観察した結果,固体膜界面で非対称的な組成イオンの溶離が起こっており,また,FTーIR,蛍光分析等の結果から,界面におけるイオンの選択的電荷分離挙動が直接観察された. 2.シトシン残基を有するトリアミンホストに基づく液膜が,相補的塩基対形成及び静電的相互作用の二点認識によって,グアノシンとアデノシンヌクレオチドを電位応答識別する現象を見出した(Anal.Chem.,in press). 3.リジッドな脂溶性内孔を有する長鎖カリックス[6]アレンに基づく液膜が,その内孔の大きさに基づいた有機アミン電位識別能を有することを見出した. 4.サフィリン(拡張ポルフィリン)に基づく液膜が,水素結合とπーπ相互作用によって,種々の有機ゲストを電位応答識別することが見出され,液膜界面等のFTIR,UVーVIS吸光測定の結果より,応答機構に関する知見が得られた. 5.発色団を有するクラウン化合物をプロ-ブとするPVC支持液膜を調製し,in sitoで膜電位とイオン抽出率の関係を調べた結果,Donnan failureを定量的に記述することができた. 6.種々のキレ-ト試薬に基づくPVC支持液膜を調製し,その電位応答挙動について検討したところ,協同効果によって電位応答が生じる現象が見出された(Anal.Sci.,7,947,(1991)). 7.種々の人工イオノフォア包埋脂質二分子膜電極を作製し,応答機構を研究した(Anal.Sci.,7,947,(1991)).
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