研究概要 |
1.イオン選択性電極の電位発生機構を明らかにするために、CuS、LaF_3固体膜-試料溶液界面での物質収支を、ICP発光分光測定により観察し、固体膜界面で非対称的な組成イオンの溶離が起こっていることを見出した。固体膜界面のFTIRや蛍光分析を行なうことにより、イオンの選択的電荷分離挙動が直接観察された。また、液膜界面のFTIR-ATR測定の結果より、液膜界面のイオン選択的電荷分離(permselectivity)が直接観測された。 2.シトシン残基を有するトリアミンに基づく液膜が、相補的塩基対と静電的相互作用の二点認識によって、グアノシンとアデノシンヌクレオチドを電位応答識別することを見出した(Anal.Chem.,64,1992(1992).また、脂溶性シトシン誘導体と脂溶性環状ジオキソN_4ポリアミンのダブルレセプターに基づく液膜も同様なヌクレオチド電位識別能を有することを見出した。(Sensors and Actuators,in press). 3.リジットな脂溶性内孔を有する長鎖カリックス[6]アレン誘導体に基づく液膜が、その内孔の大きさに基づいた有機アミン電位識別能を有することを見出した(Anal.Chem.,in press). 4.サフィリン(拡張ポルフィリン)に基づく液膜が、水素結合とπ-π相互作用によって種々の有機ゲストを電位応答識別することを見出し、FTIR,UV-VIS,NMR測定の結果より、応答機構に関する知見が得られた。 5.種々のキレート試薬に基づく液膜が、協同効果によって電位応答が生じるという現象を見出し、さらにキレート試薬を脂溶化することにより、協同試薬なしで電位応答が生じることを見出した(Anal.Sci.,7,947(1991)). 6.種々の人工イオノフォア包埋脂質二分子膜を調製し、電位応答挙動について検討を行なった結果、従来の液膜型電極とは異なる電位応答特性及びイオン選択性を有することを見出した(Anal.Sci.,7,853,(1991)).
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