メンブランフィルターによる濃縮:蛍光性染料であるローダミン6Gとモリブドリン酸イオンとのイオン対を形成させ、メンブランフィルターでろ過捕集し、メチルセルソルブに溶解したのち蛍光強度を測定する。この濃縮蛍光光度定量法は高感度な方法であり、O.1μg1^<-1>レベルのリンをケイ素や界面活性剤の妨害なしに定量することができる。湖沼水などに含まれる非常に低濃度のリンを短時間で定量することができた。 フミン酸と銅との相互作用:高感度でかつ迅速簡便なASVによるフミン酸共存下での銅の形態別定量法を確立した。この手法は高感度で10^<-7>M程度の銅(II)化学種の定量が可能である。ついで、フミン酸ならびにモデル化合物(EDTA、フェニルアラニンなど)のpHおよび伝導度滴定曲線の比較を行い、さらにフミン酸の元素分析、IRスペクトルの情報から官能基を推測し、結合サイトとの関連を明らかにした。さらに、フミン酸の銅錯形成能力のイオン強度依存性を検討し、イオン強度の増加にともない銅錯形成能力が増加することを明らかにした。また、これらの結果から、熱力学的安定度定数を評価した。 化学修飾電極による溶出ボルタンメトリー:2^-(サリチリデンアミノ)チオフェノール(SATP)を修飾剤としたCPEでは、銅(II)はこの電位をかけることなく銅(II)-SATP錯体として選択的に電極表面上に濃縮される。この方法による植物標準試料の‘りょうぶ'や頭髪中の銅の定量結果は保証値とよく一致した。含硫黄有機物であるシステインが銅と錯体を形成するので、銅(II)シクロヘキシル酪酸塩で修飾したCPEを用いてシステインのボルタンメトリーを行った。システインは銅(I)-システイン錯体として電極上に濃縮され電位を正方向に掃引することによって、システインの濃度に比例する銅(I)から銅(II)への酸化波が得られるのでシステインを間接的に定量することができた。
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