研究概要 |
1.ジチオカルバメ-トーキチン(DTCーキチン)による超微量金,パラジウム,ルテニウムの吸着挙動及び濃縮分離:キチン粉末を2ープロパノ-ル,二流化炭素及びテトラメチルアンモニウムと混合し,二昼夜かき混ぜたのち,純水,2ープロパノ-ルで洗浄ろ過して,DTCーキチンを調製し,Au(III),Pd(II)及びRu(III)の吸着挙動をバッチ法により調べた。Au(III)及びPd(II)は6M塩酸溶液からDTCーキチンに定量的に捕集されるが,Ru(III)はpH3.0〜4.5の狭い範囲で約80%が捕集された。さらに ^<106>Ruトレ-サ-を用いた実験では,pH>4.0で約40%しか捕集されなかった。pH4.0におけるDTCーキチンの吸着容量は,Au及びPdでそれぞれ64μmolg^<ー1>,127μmolg^<ー1>であった。またDTCーキチンに捕集された金属は,Auが5%チオ尿素を含む1M硝酸,Pdは1.6倍に希釈した逆王水によって溶離された。 2.ポリ(クロロトリフルオロエチレン)樹脂(PCTFE)による鉄(II)のフェロジン錯体としての濃縮ー吸光光度定量:海水中のトレ-スレベルの鉄(II)の定量は困難な分析法の一つである。錯生成試薬であるフェロジンと鉄(II)の錯体のPCTFEへの吸着挙動について検討し,実試料に適用するための簡便な予備濃縮ー吸光光度法を確立した。Fe(II)ーフェロジン錯体は,pH4.8〜7.0の溶液から樹脂に定量的に捕集された。PCTFEのカラムには,pH5.0で4〜25mlmin^<ー1>の流速で完全に捕集され,少量のメタノ-ルによって容易に溶離された。樹脂の吸着容量は0.52μmolg^<ー1>であった。本操作により、予めFe(II)を除去した海水にスパイクしたFe(II)の回収率は96%あった。本法を用いて能登九十九湾の海水中のFe(II)を測定し,0.87μgl^<ー1>の値を得た。
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