研究課題/領域番号 |
03453042
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松井 正和 京都大学, 化学研究所, 教授 (90027037)
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研究分担者 |
梅谷 重夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (80160315)
木原 壯林 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60161543)
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キーワード | 分離 / 分子認識 / 溶媒抽出 / 剛直性配位子 / 配位原子間距離 / 有機ヒ素 / スペシエーション |
研究概要 |
1.ピラゾール環を含む新しい選択的キレート試薬の開発。ホウ素にピラゾール環の窒素原子が結合した配位子、ポリピラゾルリボレート塩は、六員環のキレート環をもつN-N型リガンドで、極めて剛直性の配位空間を持っている。また、N,N-配位でありながらMg^<2+>と昇華性キレートを生成するなど、特異なキレート生成反応を行う。本年度はジヒドロビスピラゾリルボレートを用いる第一遷移金属の液ー液分配の研究を行った。また、希土類元素をトリス、テトラキスピラゾリルボレートとβ-ジケトンとの混合配位子系で液ー液分配挙動を検討した所、ポリピラゾリルボレートが極めて剛直性のある配位子で、よくイオンサイズを認識することが判明した。一方、一種のβ-ジケトンであり、また、極めて酸定数が低く、抽出能の高い3-フェニル-4-ベンゾイル-5-イソキサゾロンを合成し、金属種との反応および協同効果などを検討した。この配位子のpKaは1.23と極めて強い酸であり、多くの金属が低いpHの溶液から抽出された。コンピューターを用い、これら配位子の配位原子間距離を計算した所、pKaはこれらの距離と極めて強い相関性があることを見い出した。さらに金属のイオンサイズを認識する機能は配位原子間の距離が短い程大きいことを発見した。以上のように配位子の持つ分離機能を支配する因子として第一に配位原子間距離、第二に配位原子間距離の剛直性にあるという極めて基本的な原理を見い出した。 2.有機金属イオンの抽出分離。自然界で生成し、人間が作り出した有機金属種の自然界での循環が社会的にも問題になっている。これらのうち無機ヒ素、メチル化ヒ素のスペシエーションのための分離分析法の研究を進め、本年度は自然界に有機金属化合物を容易に生成する有機ヒ素化合物のスペシエーションの研究を進めた。
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