研究概要 |
本研究は、磁場印加下で観測可能な電極界面in situ計測法を、新しい電極界面状態解析法として関発することを目的に行われた。主な研究実積は次のとおりである。 1.磁気旋光スペクトル装置の開発 電解経過中の電極に磁場(12kGまで)を印加し、その効果で誘起される電極界面吸着物質の旋光度が測定できる装置を作製した。 2.電極界面吸着物質の磁気旋光スペクトルの測定 作用電極として光透過性薄層電極(Au及びSnO_2)を使用し、次のような各吸着系の旋光度(波長270〜700nm)を測定した。 (1)アンダーポテンシャル・デポジションにより生成したPb及びBiの吸着原子(アドアトム)層。 (2)生体関連物質の吸着層。ー例えば核酸関連物質(アデニン,AMP,など),FMN,ヘモグロビン,ビタミンB_<12>の吸着層。その結果、いずれの場合にもある電位範囲で旋光度変化が生じる事実を捉えた。その電位範囲は光反射法、長光路薄層セル法などで観測した吸着電位範囲とよく一致することから、本法によりそれぞれの物質の吸着層に生じた磁気旋光を捉えられたことを確認した。 3.光反射法による電極界面吸着計測 光透過性電極に限らず、不透明固体電極についても界面吸着in situ計測を拡張するために、光反射法も併用した。金電極で得たデータは、前述のように磁気旋光のデータに確証を与えた。カーボン電極への吸着のデータは、HPLCの検出用電極の使用条件設定の指針となった。又、薬物による歯科用合金の腐食計測にも応用し、口腔内における歯科用合金の新規安全性テスト法となり得ることを見出だした。
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